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怒り?情けなさ?悔しさ?胸の中に混在する感情を処理しきれないまま、足早に駅へと向かう。
「サラちゃん、待って・・・。ごめんね。蒼人、無神経なこと・・・言って」
よほど急いだのだろう。息を切らせて私を追いかけて来たのは志穂さんだった。
そういえば、この人は見知らぬ私のために力を貸してくれようとしたんだ。それなのに、お礼言ってないや。
「こちらこそ、ごめんなさい。こんなつまんない私のために、協力しようとしてくださったなんて、ありがとうございました」
私は深々と頭を下げた。それでも「イエス」と答える気の無い私は頭を上げると、再び駅へと歩き出す。
「サラちゃん、聞いて」
志穂さんが私の肩に手を置いた。これ以上何を言われても、今この場で結論を出すのは難しい。
努力して、本当に凄く可愛くなれるなら努力もする。
課長に告白できるくらい自信が持てるなら頑張る。
振られたとしても、「はい次の恋」って簡単に次の恋が見つかるなら告白もする。
だけど、美しい二人のようなポジティブな思考回路は、私には備わっていない。
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