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「蒼人が居ると、反発しちゃうなら、とりあえず私と二人で始めない?」
「は?」
志穂さんの提案は、かなり私を驚かせた。
そもそも志穂さんは仲村の知り合いで、私とは今日が初対面。なのに志穂さんがそこまでしてくれる理由は何?
いくらなんでも、さっきまでの他人に自分を任せることなんて出来ない。
思わず、眉をひそめた私。
「私ね、今日をとても楽しみにしていたのよ」
私の手を取ると、志穂さんはバス停のベンチに私を誘導した。影のある優しい笑顔。今日ここまで出向いてくれた彼女への申し訳なさもあり、私は素直に従った。
「私ね、少し心を病んでいるみたいなの」
「え?」
志穂さんは俯くと、バッグからブルーのピルケースを出した。
「安定剤・・・私これに頼らないと自分を保てないの」
薬?
父が亡くなったり、男の子から悪口言われたり、あまり友達が出来なかったり・・・私だって相当心を痛める経験をしてきた。
だけど、薬に頼らなくてはならないほど病んだことはない。
いったいこの人には、どんな心の闇があるのだろう・・・。
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