初恋は突然に2

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「何か、楽しいことを見つけたほうがいいって。旦那以外の何か・・・」 「旦那様以外?」 「ええ、そもそもの原因が旦那だろうって。忙しくてね、海外も多いし、結婚したといっても殆ど会えないの。それが一番の要因だろうって。でも、仕事だから、なかなかワガママ言えなくて」 夫婦というものがどんなものなのか、片親の私にはピンと来ない。けれど、せっかく二人揃っているのに孤独を感じているのであろう彼女を気の毒に思った。 それも、薬に頼らなくてはいけない程の孤独だなんて・・・。「旦那様に直接言えば?」とか単純に思うけれど、人の心はそんな一問一答じゃない。 それは、ついさっき私が言い捨てたことだった。 自分の心の闇と、この女性の心の闇。どちらが暗いとか、どちらが深いとか、それは本人の感じ方にもよるのだろう。 でも今、自分の目の前に居るこの女性は、きっと私よりもずっと繊細で弱い人だ。 「蒼人はね、ずっと心配してくれてて。で、この前言われたの。『変えて欲しい女の子が居るんだ』って」 それが、旦那様意外の楽しみ。 イコール私か・・・。
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