初恋は突然に2

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「とてもワクワクしたの。絶対その子をシンデレラにするって思った。そしたらね、心の調子も良くて薬の回数も減ってきたのよ」 寂しげに笑う影のある横顔。 私の胸はチクチク痛んでいた。 私が拒否したら、この人はまた薬に頼って生活するのだろう。さっき仲村があれほどムキになったのは、私じゃなくて志穂さんを救うためだったんだ。 きっと、彼女はそれくらい深刻な状況にあるのだろう。 「蒼人を責めないでやって欲しいの。悪気があってあんな言い方したんじゃないのよ」 バスが停まっては、乗り込まない私たちを残して走り出す。 一方的に志穂さんが喋り、私はただ聞いてるだけの状態が続いた。 喋らなかったんじゃなく、私は喋れなかった。 仲村を弁護するために追いかけてきたのか、それとも私に「イエス」と言わせるためなのか、真意は掴めない。 私たちがバス停に来て、五台目のバスが走り去った。 志穂さんがベンチから立ち上がる。 「いろいろごめんなさい。ただ、蒼人だけは恨まないでね」 そう言い残し、私に背を向けた。細い肩が余計に寂しそうに見える。 ここで、情に流されちゃいけない。 そう思ったのだけど・・・。 「ま、待って下さい!!」
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