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「なんだ、かわいい声出すんじゃん。怒った声しか聞いたことなかったから新鮮」
「へ、変なこと言わないで!!」
コイツ何言ってるの?意味分かんない。電話だから見えてないだろうけど、今の私はきと真っ赤だ。
「かわいい声、また聞かせてよ。じゃな、おやすみ」
「知らない!」
「おやすみって言わなきゃ電話切らないよ」
「こっちから切ってやるわよ」
「無理だね、あんた、自分から電話切れない性分だもん」
「・・・っ」
確かに、私は相手が切ったのを確認しないと電話を切れない。
たった1回の電話でそんなことを見抜けるものだろうかと驚いた。
「これからも電話続けるけど、毎回電話切るきっかけあんたが作って先に切れるの?オレがやんないと、電話ダラダラなって大変だぜ?」
この人、勝手にかけてきておいて、なんて偉そうなの。
これって、私が折れないとダメ?
だけど、私の好きな人を知ってる仲村に反抗するのもリスクが高い。
弱みを握られてしまった私は従うことを選んだ。
「おや・・・すみ」
「ククッ。かわいい声じゃないけど、百歩譲って今夜は許してやるよ。じゃ」
憎たらしい言い方をして、仲村は電話を切った。
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