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志穂さんの作ってくれたバジルのパスタはとても美味しかった。
自慢じゃないけど、私も小さな頃から必要に駆られて料理はしてきた。和食も中華も洋食もお手の物だ。
そんな私からしても、お世辞抜きに美味しい。
「志穂さん、このパスタとっても美味しいです」
「そう?ありがとう。十八番なの」
食事するのに邪魔だからと、長い髪を緩くまとめた志穂さんが嬉しそうに笑う。
そんな様子も女性らしく感じて、やっぱり私も長い髪のままにしようかと思った。けれど、今回は髪を切ることにこだわろうと思い直した。
そう、私は変わるんだ。
ここまできても、変化が怖いという気持ちは拭いきれない。
だけど、『友達』って言ってくれた二人の気持ちに応えたいし、何より課長に少しでも近づける女性になりたかった。
「志穂さんのパスタはどれも最高だよ」
蒼人も美味しそうにパスタをほおばっている。
なるほど、パスタの似合うスマートな男だなって思う。それは認めるけれど、さっき私を抱きしめた悪戯はいただけない。
蒼人のあの腕の力強さを思い出して、不覚にも少しドキドキしていた。
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