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「さ、今のうちに教えて、どれ選んだの?」
志穂さんがニッコリと微笑む。
蒼人がわざと席を外してくれたことは、私にも分かった。そして、志穂さんがオリーブオイルを追加して時間稼ぎしたことも。
二人とも、私の気持ちなんてお見通し。
二人が凄いのか、私が単純で分かり易いのか・・・。
何にしても、蒼人が居なくなったことで言い出しやすくはなった。私は志穂さんに先ほど選んだ数パターンをおずおずと伝えた。
「なるほどね。サラちゃんは身長も大きくないし、性格も控えめだから、この中だとコレね。『大人可愛い系』がいいと思うわ」
「は、はい」
「私が全部決めてもいいんだけど、押し付けられた変身じゃ意味無いと思って。せっかくだから、一緒に達成感味わいたいじゃない?」
私は大きく二度頷く。
着せ替え人形的な感覚で構えていたけど、これは私の変身なんだ。改めて、甘えてばかりではダメだと思い直した。
「じゃ、髪型選ぼうか」
志穂さんに促され、今度はヘアカタログを開く。
唯一、私は髪型にだけ希望があった。
出来れば肩より短くしたい。
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