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志穂さんと相談しながら、耳下から柔らかいカールのついた『シフォンボブ』と名づけられたヘアスタイルに決めた。
仕事柄、モデルさんのように明るい髪色には出来ないけれど、支障の無い程度まで色を入れることになった。
そこまで決めたところで呼び鈴が鳴る。
蒼人が帰ってきたようだ。
「じゃ、昼食作るから、暫く蒼人と話でもしててね」
そう言うと、志穂さんは立ち上がり部屋を出た。
そして数十秒後、入れ替わりで蒼人が部屋に入って来る。
「進んでる?」
「うん。ぼちぼちね」
あまり詳しく聞かれると恥ずかしいので、私は素っ気なく答えてバリアを張った。
それに気づいたのだろう。蒼人はわざとしつこく様子を聞いて来る。
そして、ファッション誌とヘアカタログのページを折って印代りにしているのを目ざとく見つけて手に取った。
「これだ!そうだろ?」
得意気にページを開いて私に見せる。
私は恥ずかしくて、慌てて取り返そうとした。
蒼人の身長で立ち上がって上に手を伸ばされると、私はジャンプしても届かない。分かってて高い位置に本を遠ざける蒼人。
頑張って取り返そうとすると、おのずと体同士が近づく。
「あっ・・・」
私は蒼人の足に躓いてしまい、体制を崩した。
不意に背中に回された腕。私は抱き止められてしまった。
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