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「・・・」
咄嗟の機転など、私に効くわけもない。けど私なりに必死で気の利いた答えをさがした。
「この髪型似合うって言ったら、真っ赤になっただけ」
端が折られたヘアカタログのページを指でトントンと叩きながら志穂さんに見えるように持ち上げた蒼人。
助け舟を出したのは、私を窮地に追い込んだ本人だった。
「でしょ?蒼人も思うでしょ」
嬉しそうにパスタを並べながら志穂さんが力説する。
「サラちゃんはキュッと逆三角形の顔だし、うなじも高くてキレイだから、きっと似合うわ」
どうやら勘ぐられずに済んだようだ。わたしはようやくホッとして席に着く。
向かいに座っている蒼人にチラリと目をやると、意地悪な目つきでニヤリと笑った。
助けるくらいなら、最初から人を追い込むな!
って思いながら、私は軽く蒼人を睨む。
もちろん、志穂さんには気づかれないように・・・。
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