変身と悪魔の仕上げ

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自分の強い意志でとか、向上心があってとか、そういう前向きな感じで始まった訳じゃない。 どちらかというと、流されて、断ることが出来なくて、仕方なく始まった感じ。 それでも、変身するという決断は私にとっては大事件だった。 三人がそれぞれの連絡先を交換し合って、それまで携帯の着信履歴にだけあった仲村の番号もアドレス帳に登録することになった。 「仲村の番号は分かるからいいよ・・・」 私がポツリと呟くと、仲村が反応する前に志穂さんが反応した。 「蒼人のこと、苗字で呼んでるの?」 「え、はい、そうです」 意外な質問に、私はキョトンとした。 「せっかくお友達になったんだから、下の名前で呼んだら?ねぇ、蒼人」 「ああ。じゃあオレもサラって呼ぶわ」 「え?無理無理!」 拒否してみたけど分かってる。 二人が言い出したら、私の意見は通らない。 この数時間の会話で、なんとなく出来た流れと関係性。 別に不快なものじゃなく、周囲の友達同士のグループでも良く見かける構図。 携帯のアドレス帳に追加された二人の名前。 少しだけ、暖かいものが胸の中を埋めた。
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