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そういうことか・・・
「名前呼んだら、待ってやるよ」
朝から美しいその男は、ニヤリと笑ってこちらを見ている。
「よ、呼ばないわよ!」
悔しくて、強がった私。
仲村はクルリと背を向けると、より一層速足で歩きだした。
「う~・・・」
私は負けるもんかと思い、必死で早歩き。走るという選択肢もあったけれど、手土産のケーキが心配で出来なかった。
はぁ・・・はぁ・・・
日頃から運動してない私。早歩きでも直ぐに限界が訪れた。
もう、無理・・・。
仲村の背中が見えなくなってしまう・・・。覚悟を決めるしかなさそうだった。
しばし呼吸を整えた私は、大きく息を吸う。
「あ、あ、蒼人!待って!」
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