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蒼人の横を歩きながら、仕事の話や課長の話をした。もちろん、課長の話を持ち出すのは蒼人のほうで、私は彼の質問に照れながら答えるだけ。
特に私が話題を考えなくたって、流れるように会話がスムーズなのは彼が上手にリードしてくれているからだ。
よく知りもしないで、その他大勢と同じカテゴリーに入れて彼を疎ましく思っていたことを私は少しだけ後悔していた。
「あのオレンジの屋根の家だよ」
蒼人示す指先を辿ると、洋風で白い壁の一軒家。近付くと、いかにもナチュラルな志穂さんらしく、庭にはハーブが植えられている。
「わぁ~暖かみのある素敵なお家」
素直な感想が漏れる。
そんな私に蒼人がポツリと呟いた。
「中は孤独な家だけどな」
「・・・」
その言葉で、昨日の志穂さんとの会話が思い出される。
この素敵な一軒家の中には、旦那様を待ちわびる孤独な志穂さんが居るんだ・・・。
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