166人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「次、何処行くの?」
「サプライズなんだから、秘密だよ」
最後の一杯を飲みながら『次の場所』を必死で聞き出そうとしていた。けど、いくらしつこく聞いても、蒼人は教えてくれない。
キレイな横顔で意地悪に笑いながら美味しそうにビールを飲んでいる。
ゴクリと鳴る喉の音と共に動く喉仏が、私にとってはなんとも新鮮で、妙に美しく思えた。
「何?そんなに見られたら気になるんだけど?」
親指で口の周りの泡を拭いながら、蒼人がこちらをチラリと横目で睨んだ。
「ご、ごめん!蒼人、男の人なんだなぁって思って」
もの凄く見つめていたことに気づき、焦った私は妙なことを口走ってしまう。
「あ?」
『何言ってんだ?』って、疑問いっぱいの顔。当然のリアクションなんだけど・・・。
困って苦笑いするしかない私。
蒼人は突然私の手の上に自らの手を重ねてギュッと握った。
「確かに。オレは男で、お前は女だよ」
最初のコメントを投稿しよう!