変身と悪魔の仕上げ2

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今日も蒼人は私に歩速を合わせて歩いてくれる。 休日の人混みの中、横断歩道の青信号が点滅を始めた。 「ちょっと急ぐぞ」 しっかりと私の手を取ると、蒼人は横断歩道を速足で渡る。 道路の反対側に到着。当然放されると思われたその手は、驚いたことに繋がれたまま。 「手・・・」 先週の志穂さん宅からの帰り道みたいに、メガネがなくて見えにくい訳じゃない。私、コンタクトにしたんだよ? そんな疑問を含めた私のたった一言。『何で?』とか『放して』とか、言ったわけじゃない。だけど蒼人は答えた。 「人多いから、迷子にならないようにだよ」 課長みたいに真っ直ぐな分かり易い優しさでは無いけれど、蒼人の強引でちょっとぶっきらぼうな優しさも、私は好きだ。 「ありがとう」 ここまでの親切が、たとえ志穂さんのためだったとしても、私を変えてくれたことや、友達だと言ってくれたことには感謝してる。そんな気持ちを含めての『ありがとう』だった。
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