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「かわいい声、久々に聞けた。オレ、サラの素直な『ありがとう』好きだよ」
「ヤダ。何言ってるの?」
手を繋いで、笑顔で私を見つめて『好きだよ』なんて、絵空事のようで、急激に恥ずかしさでいっぱいになった。
恋愛感情としての言葉じゃないことは十分に分かっているけれど、このシチュエーションは・・・
思わず繋いだ手を振り解こうとした私。でも蒼人は余計に強く手を握った。
逆の手にはバックを持っていて、赤くなっているであろう顔を隠せない。
「お、お願い。離して」
力では勝てないと思った私は、蒼人を見上げてお願いするしかなかった。
「斎木にもそんな上目遣いで『お願い』とか言うのか?」
私の手を引っ張って、更に私を引き寄せた蒼人が言った。
私の顔を覗き込むと、どんどん顔を近づけてくる。
整ったキレイな顔。こっちが恥ずかしくなるくらいのきめ細かい肌。
ダメ・・・!
そう思って私はキツク目を閉じた。
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