変身と悪魔の仕上げ2

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思っていたよりも、写真展への来場者は多かった。 写真好きな人、結構多いんだなぁ。なんて感心しながら蒼人の後ろに続き写真を眺め始めた私。 遅れを取らないように、視界の端には蒼人を確認しながら進んだ。 本当にたくさんの写真。 都会に居ては見ることも無いであろう自然の織り成す芸術がそこにはあった。 雲と日差しが空を飾り、朝焼けは靄と共に美しい模様を描く。 満天の星が所狭しとひしめく夏の夜空は、まるで光の海が波打っているように見えた。 空の神秘に心を踊らせながら夢中になって作品を観賞し、最後の一枚まで堪能。ふと出口の方を見ると、待合いのために並べられた椅子には既に蒼人が座っていた。 「随分熱心に観てたな」 私は真剣に写真を観る余り、蒼人が待っていることに気づいていなかった。
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