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「ごめん。だいぶ待たせた?」
私は焦って聞いた。
「いや、五分くらいだよ。興味持て無くて待たれるより、待つほうがよっぽど良かったし」
そう言って組んでいた長い脚を解いて立ち上がると、再び私の手を取って外へ向かった。
やっぱ、手繋ぐんだ・・・。
時刻は午後7時前。ちょうど夕食に良い時間になっていた。
写真展の直後だからか、普段は特に気にすることもない空を見上げた。
見えないけど、本当は頭の上にたくさんの星があるんだろうな・・・
チラリを蒼人を見たら、彼も同じように空を見上げている。
そして不意に私に視線を戻した。
「斎木のヤツとは寿司だろ?」
「そ、そんなことまで聞いたの?」
「ああ、志穂さんお喋りだからなぁ。で、今夜はスペイン料理でいいか?」
「スペイン?」
「そ、スペイン」
スペインの料理って、例えば何だろう・・・。パエリアぐらいしか思いつかない。でもまあ、食べ物の好き嫌いは殆ど無いから何でもイイと言えば何でもイイ。
それに、何に関してもセンスがいい蒼人が選んでくれたお店だもの、無条件で期待できる。
再び歩き出した蒼人に引かれ、私も後に続いた。
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