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改めて考えてみると、蒼人とゆっくりお互いの話をしたことなんて無い。
初めはからかわれてると思っててケンカばかり。電話は短いし、最近は志穂さんと三人で作戦ばかり練っている。
年齢が一つしか違わないから、子供の頃流行っていたテレビ番組や歌なんかは共通している。そんな話題から始まり、少しずつ断片的に蒼人の生い立ちを知り、私の生い立ちも話す。
小学校低学年くらいまでは、お互い似たような生活だったけれど、私の父が他界した頃からはやはり様子が違ってきた。
ま、それは先日までの私たちを見れば、二人が全く違う成長の過程を辿ったことは容易に想像が出来る。
彼の話で一番驚いたのは、高校生の時からずっと一人暮らしだということ。なんでもご両親が地方で建設会社を経営しているらしく、蒼人はそこの次男坊。会社はお兄さんが継ぐことが決まっていたため、蒼人は高校入学を期に上京したらしい。
それは特に家族と不仲だったということではなく、実家の近辺に行きたい学校が無かったからワガママを聞いて貰ったのだとか・・・。
何にしても、お金に困るような家庭ではなかったようだ。
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