変身と悪魔の仕上げ2

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そんな蒼人の楽しい昔話は、この雰囲気に合うけれど、私の過去は・・・。 もちろん人に恥じるようなことはしていないけれど、上手に笑い話に出来るほど長けた話術は持ってない。 おそらく蒼人もその事には気付いているだろう。 母と二人暮らしであること。友だちと遊びに出掛けた経験などが極端に少ないこと。そんな話だけでも十分に察することが出来たはずだ。 話の端々に、そういう切ない過去の断片が見えてしまう時、蒼人は必ず私に触れた。 腕に手を添えたり、肩に手を置いたり、いつものように頭をポンポンしたり。 何故だろう、その度に彼が私の心を理解してくれたような気がしてとても安心できた。 蒼人は、こんな寂しい話に引いたり、面倒がったりすることも無い。とにかく黙って静かに頷き、触れてくれた。
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