変身と悪魔の仕上げ2

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四杯目を注文しようとした時だった。 「アップルジュース一つ」 再びスパークリングワインを注文しようとした私の声を蒼人が遮った。 「私、もう一杯これ飲みたい」 空のグラスを持ち上げて主張する私を腕で制しながら、蒼人はそれを取り上げた。 「歩けなくなるぞ。次行くまでは潰れんな」 そう私に言うと、自分はあれこれ店員さんと相談してスペインのビールを注文した。 「酔ってないよぉ。飲みたいよぉ」 グズグズ拗ねて抗議する私。蒼人は聞く耳持たずという素振りで私を完全放置。そのうちに注文した飲み物が届く。 「これ飲んだら出よう。次の所では思い切り飲ませてやるから」 プリプリと怒る私のオデコを蒼人はパチンと指で弾いたけれど、それもまた痛くはなかった。 次もどこか行くんだ・・・ って、ただ単純にぼんやりと頭の中で思った。
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