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「さ、そろそろ出よう」
握っていた手を、そのまま繋ぎ直し、蒼人は私を促した。
会計で「半分に割って下さい」って言った私に「バーカ、オレが払うよ。今日はお祝いだろ?」って、蒼人が言った。
蒼人はいつでも私を女の子として扱ってくれてる。
蒼人は男で、私は女。当たり前に分かり切ったことだ。
だけど、そうハッキリ言われたことで、ちょっと意識してしまう。
先日抱きしめられた時感じた
厚い胸板。力強い腕。大きな手。キレイな喉仏。
ほら、今すれ違った女の子たちも蒼人を振り返った。ほらほら、また振り返ったよ?
私、こんなカッコいい男の人と手を繋いで歩いてていいの?
今さらながら、身の程知らずなことをしてるんじゃないかと不安になる。
つい二日前までは、地味で垢抜けない銀行員だったのに・・・。
私は思わず足を止めた。
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