161人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
まさかのタイミングで腕の力に限界が訪れた。
もう、ダメだ・・・。
パタリと床に落ちた私の両腕。それが、彼の申し出を受け入れる合図のように思えても不思議じゃない。
「サラ、可愛い。ホント可愛いよ」
そう呟くと、ついに蒼人は私にキスした。
緊張し過ぎて何も考えられない。キスっていうか、唇と唇が触れたというだけの感覚だった。すると蒼人は唇を離して言った。
「可愛いな、緊張してんの?力抜いて。リラックス」
緊張して、自然に強張った私の口元。力を抜こうとするけれど、なかなか上手くいかない。
そしてそのまま二度目のキスを受け入れた。
「まだ力入ってる。難しい?」
「あ、ごめ・・・ん」
思わず謝った私のオデコに一度軽くキスをした。
「謝らなくていい。サラ、少しだけ口開いて」
私は小さく頷いて、蒼人の言う通り薄く口を開いた。
そして三度目のキスを受け入れる。
「そう、上手だ。サラの唇、やらかい。今度はオレとリズム合わせて、同じようにオレの唇欲しがって」
「は、はぃ」
耳のすぐ傍で囁かれる言葉に、私は今まで経験したことのない痺れを全身に感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!