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「ここなら、倒れても痛くない」
私を優しくベッドの上に座らせると、再び耳元で囁く。
「じゃ、さっきのとこまで復習するぞ」
またもや痺れた私の体は、ゆるゆると力を失った。
何度も何度も繰り返し練習した。始めは緊張だけで、その他のことなんか考えられたなかったけど、回を重ねるごとに気づくことがあった。
キスする前の蒼人の目が、ドキドキするほど真剣なこと。キスしてる時に必ず私の頬に添えられる彼の手のひらが優しいこと。彼の唇もまた、柔らかくて心地よいこと。
ほんの数分前まで脳裏をかすめていた罪悪感は何処かへ消え去っていた。
もっともっと、蒼人とキスしたい。
なんて、酔っていたとしても不謹慎だったのかもしれない。
そんな私に、目の前の優しい悪魔が更なる天罰を与えようとしていた。
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