変身と悪魔の仕上げ3

19/29

161人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
鈍い痛みが残る体を起こすと、隣には微かな温もりが残るだけで、蒼人の姿は無かった。 この状況で悟る。昨夜のことは夢じゃない。 遮光のカーテンから漏れる光が見えるということは、夜は明けているということ。急いで時間を確認すると、既に朝の10時を回っている。 友達と食事に行くとだけ伝えていたから、母から何通かメールが届いていた。 〓飲み過ぎちゃって、友達の家に泊まったの。連絡しなくてごめんね〓 と慌てて返す。 「はぁ・・・」 ため息で見つめるドアの奥から微かに聞こえるシャワーの音。蒼人であることは間違い無い。 蒼人が出てきたら、どんな顔をすればいいのだろう。 笑って挨拶?謝る?怒る? きっと、どれも出来ない。二度と会わない行きずりの人なら、今すぐ逃げ出せばいい。だけど相手は会社の同僚で私の大切な友達。そして、私の初めての人。 ガチャ・・・ ドアノブが動く音がして、私はハッと我に帰った。 ヤバい・・・蒼人が出て来る。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加