変身と悪魔の仕上げ3

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ガラン・・・としている。 殆ど生活感が無い。茶系の濃淡で統一された部屋のほぼ中央にソファーとテーブル。広めのワンルームの隅には一人暮らしなのにセミダブルのベッド。 高校からずっと一人暮らしなのに、こんなに生活感が無いのは不思議だ。 「ああ、何にも無いだろ?支店に転属になって、引っ越したついでに荷物整理したんだ。前の部屋は高校からずっとだったから狭くてさ」 不思議そうに部屋を見渡す私に気づいたのか、蒼人は私が言うより先に説明した。 「そっか・・・」 部屋を見れば、蒼人の趣味とか好みとか色々と分かることがありそうだったのに、転属を期に越してきたのなら、せいぜい三ヶ月程だろう。 人となりを窺わせるものは見当たらない。 私は少し残念に思った。 「ま、前の部屋もこれを狭くしただけで、何か特に変わったとこもないんだけどな」 「男の人の部屋って、もっと散らかってるイメージだった」 「それは期待に添えませんで」 笑顔で答え、ソファーをポンポンと叩いて、そこへ座るようにと私を誘導した。
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