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考えもまとまらぬまま、私はシャワールームを出た。
「コーヒー?紅茶?」
私がシャワーを浴びている間に買って来たのだろうか、テーブルには某コンビニブランドの菓子パンが置いてある。
「ありがとう。紅茶がいい」
蒼人の問いに答えて、ソファーに腰を下ろした。
暫くすると、香りの良い紅茶が差し出され、蒼人も自分のコーヒーを持って私の隣に腰を下ろす。
「いただきます」
私はそっと紅茶を口にして、「美味しい」と感想を漏らした。
「・・・後悔してる?」
コーヒーを一口飲むと、言い辛そうに小声で聞いてきた蒼人。
「今は分からない・・・」
私も小声で返す。
蒼人は優しく私を抱き寄せると「ごめんな」と言った。
そして「なんで謝るの?」という私の問いに珍しく言葉を濁した。
暖かい蒼人の腕の中で、私は言い知れない不安を感じていた。
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