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グラスを2つと缶ビールを持って、蒼人がキッチンから戻ってきた。
「これ、さっきの店でサラが気に入って飲んでたやつだよ」
さっき買って来たお酒の袋から一本のボトルを取り出して蒼人が得意気に笑う。
「すごーい!」
蒼人が私のために買ってくれたことが嬉しくて、私は手を叩いた。クリスマスの時のシャンパンみたい。ボトルの栓は針金で固定されている。
ポンと音を立てて栓を飛ばすイメージしかなくて、私はビクついていた。ソファーの上に置かれていたクッションを抱きしめ、いざという時にはガードしようと用意万端。でも、その栓はプシューッと音を立てただけだった。
「クククッ。自分の部屋で栓飛ばしたりしないよ。何怯えてんだよ?」
失笑しながら、蒼人は2つグラスにスパークリングワインを注ぐ。
「だって、飛ぶと思うじゃない・・・」
私は膨れてグラスを持ち上げる。
「拗ねるなよ」
蒼人もグラスを持ち上げ、今夜二回目の乾杯をした。
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