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「練習しておいたほうがいい。」
蒼人は優しく私の唇を指でなそり始めた。
「ん~うぅ」
思わず固く唇を結んで抵抗の声をあげる私。
必死で蒼人の胸を押して彼を遠ざけようとした。
だけど・・・
ビクともしない・・・
精一杯の私の反抗もどこ吹く風。蒼人は唇を優しくなぞり続ける。
練習って・・・、キスって練習するものなの?
混乱しながらも、頭が必死で答えを探す。
確かに私はいい年をして全く恋愛経験が無い。きっと、私の年齢くらいの女の子はキスくらい上手にできるはずなのに・・・。
たくさん恋愛してきた課長にしてみれば、私の下手くそなキスなんて・・・みっともない?
違う違う!私は何を考えているんだろう。課長とキスなんて、奇跡でも起きない限り実現しない!そんな絵空事のために練習なんて有り得ない。
きっとまた蒼人にいいようにからかわれているだけだ。
ホント、私って学習能力ないんだから・・・。
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