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「も、も、もう!またからかってるんでしょ!」
どうにか声に出来たけど、心臓は大きく波打ったまま。お願いだから、早く私を解放して。でないと心臓がもたない。
「からかってないよ。そんなに可愛いんだから、きっとこれからたくさん恋をする。キスが恋愛の妨げになったら嫌だろ?」
私の髪の乱れを指で直しながら、蒼人が切なげに笑う。
「そ、それは・・・」
そんなこと言われたら・・・、キスするのが怖くなってしまう。
恋人同士のキスが唇を合わせるだけじゃないことくらいは、いくら私でも知っているけれど、だからって、実際どうするのかなんて・・・。
「教えてやるよ。相手がオレなら、恥ずかしくないだろ?オレを練習台にすればいい」
練習台って・・・。
相手が誰だって、恥ずかしいものは恥ずかしい。だって、こんな年だけど、ファーストキスなんだよ?
蒼人を拒む腕の力もそろそろ限界。かなりアルコールが回っているのか、頭の回転も鈍くて、なかな返事をすることが出来ない。
「他のヤツと練習する?」
蒼人は一変して不敵な笑みを浮かべた。
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