重ねる罪

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会社デビュー当日、私は蒼人との約束通り『ぴのきお』の前へ向かった。やっぱり恥ずかしくて、マフラーをグルグル巻きにして顔を半分以上隠した私。 目の前を通り過ぎる人の中には、まだ知った顔は無い。 昨日まで、一昨日の夜の出来事が頭を埋め尽くしていたけれど、今日はその事を忘れてしまいそうな程に課長の反応が気になって仕方ない。 あれほどの大事件が霞むなんて、私は蒼人と関係を持ってしまったことにさほど罪悪感を覚えていないのだろうか。 自分自身疑問に思う。 「きゃあ!」 ギューッとマフラーを引っ張られ、私は悲鳴を上げる。 「おはよう、サラ」 後ろから登場したのは、他でもない蒼人だった。
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