重ねる罪

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「オレそろそろ時間だから・・・」 蒼人が切り出した。 「もうそんな時間?」 志穂さんが残念そうにしている。 私はようやくこの時間から解放されると思うと、申し訳ないけどホッとしていた。 「サラちゃんはこれから用事あるの?」 「え?」 もしも私が用事無いって知ったら、志穂さんは私を誘うのだろうか。気持ち自体は嬉しいけれど、もう今日は帰りたい。 帰って心を休めたい。 だけど、断ったら志穂さんがっかりするだろうな・・・。 「サラは今日、お母さんが誕生日なんだって」 ・・・へ? 答えに困る私の耳に、蒼人の突然の言葉・・・私は驚いた。 「そうなんだ。それはおめでとう!しっかりお祝いしてあげてね」 「あ・・・う・・・はい。ありがとうございます」 私は蒼人の突然の嘘に乗っかるしかなかった。
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