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私は蒼人に手を引かれるまま、黙ってそれに従っていた。
蒼人も私も、ひたすら無口で歩いた。
電車に乗り、駅を降り、小さな定食屋に立ち寄る。
もう、夕食をとるのに十分な時間になっていた。
さして会話もせず、簡単に食事を済ませる。そして会計を済ませて再び歩き始めた。
私は駅を降りた辺りから気付いていた。
蒼人が今どこに向かっているのか。
さっき降りた駅は、あの夜降り立った駅と同じ。
そう、蒼人は私を自分の部屋へ連れて行こうとしている。あの日、一夜を過ごしたあの場所へ・・・。
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