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蒼人の少し後ろを歩きながら考えた。
やっぱり、酔った勢いだったんだろう。こんなに平然として。私なんか、蒼人の言動にいちいちビクビクしてるのに・・・。
駅から会社は歩いて数分。
スタート直前のアスリートや、舞台初日の役者さんはこんな気持ちなんだろうか。
会社が近づけば近づくほど、少し前を歩く蒼人にすがりたくなる。
さっきはその手を振り払ったくせに、不安になると頼りたいと思ってしまう私は本当に勝手だ。
そんな甘い自分と戦いながら、どうにか彼にすがることなく会社に到着した。
「着替えて来いよ。ここで待ってる」
「あ、うん」
女子更衣室でスカート丈を直した制服に着替える。靴も今日からは少しだけ踵の高いパンプスだ。
蒼人と少し早い時間の待ち合わせをしたため、更衣室にはまだ人影も無かった。
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