重ねる罪

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私、やっぱりこの人が好き。 私の緊張を解すように、いろいろと話しかけてくれる課長。 本当はそれが無くても、この右手を取ってくれた瞬間に、私の緊張なんて吹っ飛んでしまっていた。『素敵になった』って、たった一言で悪い魔法を解いてくれる。 この人の言葉には解毒作用がある。 「ディナーに誘い難くなったね。下心があると思われてしまいそうだ」 変わらず柔らかい笑顔で課長が言った。 「そ、そんな!誘って下さい」 「・・・」 しまった。ずいぶん思い切ったこと言っちゃった。 さすがに課長も驚いた顔してる。 こんなにサラリと大胆なセリフを口にできるなんて。 たくさんの人に褒めてもらって、少しだけ自信が持てたのかもしれない。 「もちろん誘うけどね。話したいこともあるしね」 「え?」 話したいこと?って・・・何・・・ですか?
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