重ねる罪

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「・・・」 暫し無言でそれぞれの顔を見合っていた彼らが、おもむろに立ち上がってこちらに向かって来る。 「意地悪なこと言ってごめんな・・・」 バツが悪そうに謝る数人。 本当は許したくなんか無いけれど、こんなに大勢の前での謝罪は大の男にとっては苦痛だろう。 そう思うと突っ張ねるのはそれこそ大人気ないと思える。 「なんだっけ。もう、忘れちゃった。あはは・・・」 私もちょっと居心地悪くなって、笑ってごまかしてしまった。 正直、あの人たちと話すことなんて一生無いと思っていた。そんな必要も無いと。 でも、よくよく考えれば、これから先仕事上で会話をすることだって出てくる。会社の忘年会なんかでは、一緒にお酒を酌み交わす機会もあるだろう。 これを機に普通の同僚に戻れるなら、それが一番良いのだと思い直した。 それに、あの悪口がきっかけで蒼人と話すようになり、今回私は変わることが出来たのだから。 もしかして・・・ 蒼人はわざと仲直り出来るように、彼ら誘導したのかもしれない・・・。 なんて、私の考え過ぎかな。
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