211人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
カツサンドの店は、会社からは近いけれど、裏手の通り沿いだから会社の人には気づかれにくい。
きっと、それを計算に入れて場所を選んでくれたのだろう。
刻一刻と迫る午後6時。私は緊張でカチコチになりながら課長を待った。
約束の午後6時にあと2分程という時だった。
黒い高級車が目の前に停まる。
ドアが開き、脚の長い長身の男性が出て来た。
「お待たせ。さ、乗って」
完璧。
非の打ちどころがない。流れるような一連の動作に思わず見惚れる。
「栗原さん?」
固まる私にもう一度声を掛ける課長。
「は、はい。ありがとうございます!」
緊張した私の様子にクスクスと笑い堪えながら、助手席のドアを開けてくれた課長。
私は急いで車に乗った。
最初のコメントを投稿しよう!