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「無理にじゃないんだけど」
話し始めた課長。私はゴクリと唾を飲み体を強張らせた。徳利一本程度の酔いでは、今夜のメインイベントを楽しむ余裕は生まれてこない。
「はい」
私は前を向いていられなくて、少し俯いて両手を膝の上で握った。
「君はまだ若いから、こんな話は・・・とは思うんだけど」
「は、はい?」
少し期待できる前置きに、私の心臓はドキドキを音をたてはじめる。
だけどまだハッキリとした内容は掴めない。
「僕は君しかいないと思ったんだ」
「は、はい!」
もうダメ。早く、早く結論を!
私はきつく目を閉じた。
「あ、その前に、今回僕が何のために支店に来たのか説明しないとね」
「・・・」
さっきまでの話の流れが大きく変わる。
変化した流れに、緊張していた体の力が抜けるのを感じた。
話は多分、私が期待しているような内容じゃない。
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