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「久しぶり~!明けましておめでとう!」
「お久しぶりです!今年もよろしくお願いします~!」
テンションの高い挨拶を交わし、ハグしてはしゃぐ私たちを蒼人が黙って見つめる。
いつもと変わらない三人の位置関係。
そして、いつもと変わらず志穂さんは蒼人に触れた。
「・・・」
胸の奥にピリッと痛みが走る。
想定内だもん。
どんなに触れたって、もう蒼人の気持ちは志穂さんには無いんだもん・・・。
志穂さんが蒼人に触れるよりもっともっと熱く、深く、私と蒼人は触れ合ってるんだから、大丈夫だよ。
一生懸命自分に言い聞かせてみた。
だけど・・・無理みたい。
きっと、蒼人と関係を持ってしまった時から。
蒼人の志穂さんへの気持ちを知った時から。
そして、蒼人の気持ちが私に移ったと知った今でも。
感情の形を変えながら、常に心は乱されている。
そして今、この瞬間悟った。
この表面上順調に見える関係は、とても危うく、とても繊細で、このままの状態を保つことは困難だということ。
そう長くは続かないことを。
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