裏切り2

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嘘をついて部屋から逃げたけれど、電話をかける相手も居ない。 とりあえず格好だけでもと思い、バッグから携帯を取り出した。 嘘でも掛けてるふりしようかな・・・ 下手な嘘だから、怪しまれているかも。私のしゃべり声がしないと変だよね。 それに、あの雰囲気のまま二人だけにしておきたくない・・・ そんな焦りも脳裏をかすめる。 今日は休日だから誰も出やしないけど、会社の番号を画面に表示してみた。 その時だった。 「嘘が下手ね」 突然背後から声がして、心臓が跳ねた。 「し、志穂さん!」 振り向いた私の視界に、不敵に微笑む志穂さんの姿。そして、 「蒼人のことが好きになったの?」 長い髪をかきあげながら、更に私に近づいた。 「そ、そんなこと・・・」 無神経な志穂さんの言葉。 この人は、何を言ってるんだろう。 それが勘違いであろうとなかろうと、この友人同士という関係を保つ中では、口にするべき内容ではない。 どんなに不快に感じても、私はこれまで我慢してきたのに。
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