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「すいません。隣良いですか?」
私は本城さんに話しかけて、柳本さんが座っていた席に座った。
そして、なんてことはない話題を振った。
本城さんも特に怪しむ様子もなく、言葉を返してくれる。
「ちょっとぉ、栗原さん。そこ私の席ぃ」
暫くすると、電話が終わったのであろう柳本さんが戻ってきた。
柳本さんが今夜、本城さんの隣になって喜んでいることは百も承知。
だけど阿部さんはきっと柳本さんと話したいんだ。
柳本さんは、さっきから充分に本城さんと話したはず。だから、朝からイライラしてばっかりの阿部さんと、少しだけ話してあげて欲しい。
「ちょっと仕事のことで話があって、ほんの少しだけ席代わってもらっていいですか?」
「しょうがないわねぇ。終わったら声かけてね」
そう言うと、柳本さんは思い通りに阿部さんの隣の空席へ座った。
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