それぞれの思惑

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本店から6人、支店から6人男女比を揃えてのお食事会がスタートした。 私も適当に話を合わせながら男性だけじゃなく女性とも会話を楽しんだ。 席はくじ引きで決めたのに、柳本さんはラッキーにも本城さんの横の席になったみたい。 「彼女、本城には当たりが柔らかいんだな。僕にはキツかったけど」 私の左隣りの席になった阿部さんがポツリと呟いた。 「そうですか?まあ、本城さん自体が穏やかですからね」 「ふーん。そんなもん?」 何だかご機嫌斜めな返事をした阿部さん。 ん? 私は珍しくピンときてしまった。 阿部さん、もしかして柳本さんを・・・ もしも私が上手く立ち回れたら、阿部さんと柳本さんが話せるようにするんだけど・・・。 思いだけはあるけれど、そういう差し出がましい行動は最も苦手だ。 どうにか自然に、そんな流れにならないかなぁ・・・ そんなことを考えていたら、柳本さんが突然席を立った。 バッグを持って、中を探りながら外に出て行く。 電話がかかってきたんだ。 もちろん、本城さんの隣の席が空いた。 「!」 私は、らしくもなく名案を思い付いた。
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