第1章 今日も眠いね…

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「大丈夫…起きて…!」 あれ、誰かの声が聞こえるなぁ~…何か言ってるみたいだけど… 「起きてください!」 「ん~、何なの?」 ボクが眼を開けると、知らない女の子の顔が見えた。 「大丈夫でしたか、よかった…」 「うん、大丈夫だよ~。おはよう…やっぱ眠い…」 「ね、寝ないで下さい!」 ボクがまた寝ようとしたけど、女の子に止められた。 「何で寝させてくれないのさ~?」 「いや、こんな状況ですし…」 ボクの顔を覗き込んでいる女の子は、真剣な表情でそう言った。 こんな、って… 「膝枕のこと?」 「え?いや、まぁ…それもですけど…」 そうなんだよね。いつの間にか、ボクは森の中で膝枕されてるっていう不思議な状態なんだよね。 「ありがとね~。え~っと、キミの名前は…」 「あ、私は犬走 椛といいます。この妖怪の山の警備をしていて…」 ボクは、椛と名乗った子の膝に預けていた頭を浮かせて、ゆっくりと立ち上がる。 「椛ちゃん、って言うんだ~。いい名前だね~」 「え?あ、ありがとうございます…」 椛ちゃんは、照れながら立ち上がる。 白い髪に、綺麗な肌。それと、刀みたいな物を持ってるんだね。 な~んか、可愛い子だなぁ~。 「それで、貴方の名前は…」 「ボクの名前?ちょっと待ってね、思い出すから…」 「いやいや、自分の名前くらい思い出す必要ないでしょ…」 そんな事言われてもね~…ここ数百年は本名で呼ばれた事は無かったから… 「ん~と…思い出したよ!ボクの名前はね、濁河 玲だよ~」 「にごりご、れい…ですか。変わった名前ですね」 「まぁ、そうだね~。あんまり見ない名前かもね~」 「さて、ここからが本題ですが、貴方、ここで何していたんですか?」 「寝てたんだよ?」 「そうですね、まぁ…って、そういう事じゃなくて!」 なんだか、椛ちゃんが真面目モードな感じだね。まだ会って数分だけど、なんとなく分かるよ。 「ここは妖怪の山なんですよ?人間が入ってはいけない場所って事は知ってますよね?」 「知らないよ?」 「えっ?」 妖怪の山なんて、初めて聞いたよ… 「それと椛ちゃん、ボクは人間じゃないよ?」 「えっ?」
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