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「椛ちゃん~、詰め所ってまだ着かないの~?」
「まだですよ。レイが飛べれば早く着きますけど」
「飛ぶって、空を?無理だよ…」
歩き始めて、もう半刻になるけど、まだ目的地は遠いみたい…
空って、飛べるモノじゃないよね?
「ねぇ椛ちゃん、もしかして空を飛べるの?」
「はい、飛べますよ。ほら」
そう言って、椛ちゃんは軽く地面を蹴って・・・浮いた?
「…凄いね。手品なの?」
「あ~…いや、だいたいの妖怪なら飛べますよ?」
「そうなの?」
「まぁ、ここは幻想郷ですからね」
そう言いながら、椛ちゃんは地面へと足を戻した。
「げんそーきょう…?」
また知らない言葉が出てきたよ…なんだろ?
「げんそーきょうって何?」
「えっとですね…レイが居た世界とは別の世界なんです。結界で分けられていて…」
「別の世界なんだ…あれ?じゃあどうしてボクはこの世界に来たの?」
結界って事は、すっごい壁みたいなのがあるんだよね。それなのにボクは世界を移動したって事なのかな?
「あ~、たまに外の世界…レイが元々いた世界から物や人が流れてくる事があるんですよ。だいたいはスキマ妖怪っていう妖怪の気まぐれなんですけどね」
「そうなんだ…ねぇ椛ちゃん、元の世界に戻る事って出来るの?」
そう訊くと、椛ちゃんは足を止めてボクの方を見た。
「レイ、向こうの世界に戻りたいんですか?」
「少し…ね。友達とか家族とか、そういう人間みたいな関係の相手は居ないけど、やっぱり新しい世界って慣れないから…」
「戻るのは…難しいですね。さっき言ったスキマ妖怪ってのが神出鬼没なんで話をつけるのが難しいんですよ」
「そう、なんだ…」
もう、向こうには戻れないんだね…
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