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「椛ちゃん、なんだか不安になってきたよ…ボクはこの世界で、上手く過ごしていけるのかな?」
まったく知らない世界。
妖怪とかが居て、常識さえも違うかもしれない場所。
そんな事実が、ボクを心細くさせて視界が滲む。
「…大丈夫ですよ」
その時、椛ちゃんが、ボクの手をそっと握ってくれた。
「椛ちゃん?」
「レイは上手くやれますよ。レイはマイペースな男の子ですから…もちろん良い意味で」
「け、けど…」
「それに」
椛ちゃんの左手が、震えるボクの頭に置かれた。
「レイには、私がついてますから」
その言葉が、ボクの目の前にあった不安を吹き飛ばしてくれた。
「…うん!」
まだ、ボクはこの世界の事をほとんど知らない。
ホントにこの先、上手く暮らせるかなんて確証はない。
けれど、ソレはもう不安にはならない。
「ねぇ椛ちゃん」
どうしてかって?
ボクに1つ、この世界について分かった事があるから。
「何ですか?」
それは…
「ありがとね。あと…大好きっ!」
椛ちゃんは、とっても優しい!
「…どういたしまして!さて、早く詰め所に行かないと日が暮れますよ?」
「そうだね。急ごっか~!」
ボク達は、しっかり手を握って走り出した。
椛ちゃんと一緒なら、この先が楽しみになってくるよ!
「そうそう椛ちゃん、さっきボクの事を『マイペースな男の子』って言ってたよね?」
「あ、はい。さすがにマイペースって言われるのは嫌でしたか?」
「んと、そうじゃなくてね…えっと言いにくいけど…」
「なんですかレイ?言って下さいよ~」
だって…ね?
「ボクは、女の子だよ?」
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