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やはり人影は少女であった。
短めの茶色の髪に、炎のように赤い瞳を持つ少女……
……変だな、僕はこの少女に見覚えがあるような……
僕がそう考え込んでいると……
「よかった……ところで、貴方は?」
不意にそう聞かれたので……
「あ、僕は天……空乃翼翔だよ」
敢えて偽名を名乗った。
「ふふっ、変わった名前だね」
少女はそう言って微笑んだ。
「よく言われるよ、君は?」
僕は苦笑しながら、彼女にそう言った。
「私は久世三日月、よろしくね、翼翔君」
少女、三日月は微笑み、手を差し出してきた……
「あぁ、こちらこそ」
僕は微笑み返し、握手をした。
「翼翔君は、この街の人?」
「あぁ、最近越してきたばかりなんだ、にしても……」
三日月の質問に僕はそう答える。
本当は引っ越しなんてしてないんだけど……
「ところで、この街ってよく魔物に襲われるの?」
「魔物っていうより、物の怪ね……まあ、最近はね」
僕の質問に三日月はそう答えた。
「最近?」
「うん、とりあえず立ち話もなんだし……喫茶店にでも行こう?」
「そうだね」
「なら、行きましょう」
「うん」
僕は三日月の提案を受け入れ、彼女と喫茶店へと向かった。
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