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「いや~こうして見てると本当に人形みたいだね。」
「本当だよね~……人間だよね?」
「さっきの自己紹介を真に受けないでよ。」
などと雑談しはじめて1時間が過ぎようとしていた。
流石に玄関先に寝かしとく訳にはいかないので居間に連れてきた。
「う……う~ん……。」
「お姉ちゃん、気が付いたみたい!」
「本当?良かった~……大丈夫ですか?」
「私は……」
「ごめんなさいね、まさか気絶するとは思わなかったわ。」
「いえ、私も冗談が過ぎました。……改めて自己紹介しますね。」
そういうと立ち上がって息を整え自己紹介を始めた。
「私は歩卯月 雪華(ほうづき ゆきはな)と言います。歩くウサギに月と書いて歩卯月、雪に難しい方の華で雪華です。」
漢字の説明まで親切にしてくれた。確かに聞いただけでは分からない漢字だな。
「歳は17です。先月付けで音幡家のメイドになりました。担当はレン様専属のメイドです。ちなみに確実に人間です。」
アヤメが言っていた事を聞いてたみたいだ。雪華さんがアヤメを見るとアヤメは視線をはずしている。私は雪華さんにお茶を出してあげると、申し訳なさそうに飲み始めた……ん?
「歩卯月さん、私の専属って?」
「はい、レン様のメイドで主にレン様の身の回りのお世話をさせていただきます。それから、名字では呼びにくいでしょう?名前の方で大丈夫ですよ。」
遠慮は無用という感じで私を見返してきた。
「そうですか?それじゃあ……ユキとユカどっちがいい?」
「えっ?……呼びやすいのであればどちらでも……」
「ちなみに、ユカだとユカタンって呼びます。」
パリンッ!
何か割れる音がした。音のした方を見るとユカタンの持っていた湯呑みが握り潰されていた……。
「ユキでお願いします!!」
……ユカタンは地雷みたいだ、すごい殺気が来るよ。
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