異国の地

4/17
前へ
/150ページ
次へ
「社会科で、長崎の出島の話を勉強しました。 それと同じような仕組みなんですね」 「そうだね。 日本は鎖国の時代だったから、そんな閉鎖的な受け入れ方しかできなかったのだが、その代わり、ここには異国文化に溢れた魅力的な街が出来上がったんだ」 雅美は、その昔西洋の貴婦人が歩いたかも知れない異人館の通りを、時を越えて自分が今立っていることに感慨深い気持ちでした。 辺りを見回すと、百年以上昔の幻影が甦ってきそうな気さえします。 「叔父様、あの館は……? 」 雅美の指差す館の窓からは、青い目の女の子がこちらを見ているように見えます。 しかし近寄ると、その中世の異国からやって来たような女の子は、良くできた人形だと言うことが分かりました。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1007人が本棚に入れています
本棚に追加