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「信じられないわ! きっとあの子はストレスでまいってしまっていたのよ!」
「そんなことは私には関係ないわ。この体を汚されたことは事実だもの」
「何が目的だ! 俺達を脅迫する気か!」
案の定、大いに慌てる二人。
この二人は汚された私のことを案じたりなどしない。
自分と、自分の息子の立場しか考えていないのだ。
腹立たしい、心から腹立たしい。
私の人生を狂わせた遠因は、間違いなくこいつらにもあるというのに。
しかし、私はそれを抑えてゆっくりと口を開く。
「脅迫なんてしないわ。私にとっても、この話は他人に知られたくないことだもの」
「じゃあなにを……」
「私以外にも、このことを知ってる人がいるの。そいつを何とかしてほしい……と思って、ね」
絶句する二人の前で、私はニヤリと口角を吊り上げた。
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