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幼い日の記憶を振り払い、現実に戻ってきた。
私は今もなお、手錠で繋がれ、欲望の捌け口にされている。
しかし今の私は、何もできずに流され、汚されるがままだった幼い頃とは違う。
今の私は、この状態で主導権を握ることができるのだ。
被害者であるからこそ、優位に立つこともある。
長年の苦しみの果てに、私が気付いたことだ。
加害者は、自分が攻撃をしている立場でもあるが、逆に言えば一番弱く脆い部分を被害者に見せつけているということでもあるのだ。
窮鼠が猫を噛むのは、悪あがきではない。
耐えに耐え抜いた後の、反撃の嚆矢なのだ。
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