ゆかりと公平

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ゆかりは、甘い匂いのする花なのだ。 集まるのは、危険な針を持つ蜂のような人間ばかり。 迂闊な人間がその香りに釣られれば、すぐに絡め取られて食されてしまう。 私や、下山ありさのように。 私は、ゆかりに対して蜂になって針を突き立てようとしてきた。 しかし、それは間違いだったのだ。 蜂は、決して花を傷つけることはできないのだから。 だから私は、やり方を変えることにした。 ゆかりを陥れる唯一の方法。それは…… 私自身も花になることだ。
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